普通かな
2024/12/27
新人賞を受賞したものの、大御所作家・東十条宗典の酷評により、華々しいデビューを飾ることなく、小説を発表する場も得られなかった不遇な新人作家・加代子。
この恨み、晴らさでおくべきか――。そう決意しながら憧れの「山の上ホテル」に宿泊する加代子の部屋の上階に泊まっていたのは・・・なんと東十条だった! 大学時代の先輩で編集者の遠藤の手引きによって東十条の執筆を邪魔し、締切日に文芸誌の原稿を見事落とさせる。だがここからが加代子の更なる不遇と試練の始まりだった......。加代子 VS 東十条の因縁の対決は、誰にも予想できない方向へと突き進んでいく!
果たして加代子は文壇に返り咲き、作家としての道を歩むことができるのか!?
のん / 田中圭 / 滝藤賢一 / 田中みな実 / 服部樹咲 / 髙石あかり / 橋本愛 / 橘ケンチ / 光石研 / 若村麻由美
(C)2012柚木麻子/新潮社 (C)2024「私にふさわしいホテル」製作委員会
この感想にはネタバレが含まれています!
ネタバレフィルター解除普通かな
この感想にはネタバレが含まれています!
ネタバレフィルター解除書いた作品の面白さ、大衆の人気や支持よりも業界内の人脈や政治力が物を言う文壇の理不尽さに対する主人公の怒り、憤慨、妬み。嫉みといった持つ者と持たざる者への嫉妬心にガチ共感。
「才能があっても努力しても一生スポットが当たらない人間はたくさんいる。そして、なんの力もない人間がコネや政治のおかげで表舞台に立つことができる。本当にこの世は不公平だと思いませんか!? でもね! そんな既存のルールに負けちゃいけないんですよ! スポットが当たらなかったら、スポットの下に飛び出せばいい!」
「犯罪者のくせして世の中の物差しにしたがってんじゃねえよ!」
「私の人生、小説書いてる私が主人公なの! だから、私は私の夢を叶える!」
「私は枯れない。私は戦う。おなじ気持ちで。いつだって、満たされないこの悔しさを力に変えて……書き続けるんだ」
主人公のこれらの言葉にうおぉぉぉ! てなりましたね。
加代子が実行する奇抜な作戦の数々は往年のドリフターズやマルクス兄弟のスラップスティックなコントのようで終始クスクスし笑いしっぱなし。
瀟洒な造りのホテルや文士が集う文壇BAR、銀座のクラブや街のスナックなど昭和レトロ感あふれる世界観も魅力的。
寡聞にして知りませんでしたが『山の上ホテル』は実在したホテルで、2024年に閉館してしまったとか。
ホテルにカンヅメで小説執筆とかあこがれます。
私もオーバールックホテルに冬の間ずっと引きこもりたい。