映画作品としてはとても面白かった。音響と間が独特で、洗脳されそうな怖さがありましたね。残酷なシーンは無いものの、露骨に映像が出てこないだけで、白い粉や煙、発砲音や悲鳴などがとても恐ろしかった。いくら豪華で裕福でも、自分ならこんな所に住みたいとも思えるはずもない。「妻」の行動や言動には心底ゾッとした。1人だけ何も気にせず寝てられる神経はとにかく異常でした。その後の子供達がどの様に育ったのかがとても気になりました。
2024/05/24
空は青く、誰もが笑顔で、子供たちの楽しげな声が聴こえてくる。そして、窓から見える壁の向こうでは大きな建物から黒い煙があがっている。時は1945年、アウシュビッツ収容所の所長ルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)とその妻ヘドウィグ(ザンドラ・ヒュラー)ら家族は、収容所の隣で幸せに暮らしていた。スクリーンに映し出されるのは、どこにでもある穏やかな日常。しかし、壁ひとつ隔てたアウシュビッツ収容所の存在が、音、建物からあがる煙、家族の交わす何気ない会話や視線、そして気配から着実に伝わってくる。壁を隔てたふたつの世界にどんな違いがあるのか?平和に暮らす家族と彼らにはどんな違いがあるのか?そして、あなたと彼らとの違いは?
クリスティアン・フリーデル / サンドラ・ヒュラー
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この感想にはネタバレが含まれています!
ネタバレフィルター解除映画作品としてはとても面白かった。音響と間が独特で、洗脳されそうな怖さがありましたね。残酷なシーンは無いものの、露骨に映像が出てこないだけで、白い粉や煙、発砲音や悲鳴などがとても恐ろしかった。いくら豪華で裕福でも、自分ならこんな所に住みたいとも思えるはずもない。「妻」の行動や言動には心底ゾッとした。1人だけ何も気にせず寝てられる神経はとにかく異常でした。その後の子供達がどの様に育ったのかがとても気になりました。
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ネタバレフィルター解除話題作、問題作と言われている映画である。1945年アウシュビッツ強制収容所と壁を隔
てた豪華絢爛な屋敷に住んでいる収容所の所長とその家族の物語である。しかし物語は一筋縄ではいかない単純そうに見えて複雑な構成で進行していく。
黒バックに『The Zone of Interst』のタイトルが映し出され画面が徐々に黒一色の漆黒になり、耳障りな不快感を感じる音(音楽)が長い時間聞こえてくる。
何故、冒頭から問題提起を促し観客に謎を投げかけてくるか? 構えてしまう。
そして家族が川辺でピクニックを楽しんでいる本編に入っていく。派手な色彩表現ではなく落ち着いた色合いの映像から暖かさが感じられる。強制収容所の近くに住んでいるこの家族は何者なのか?
映画が進行するに従って明らかになってくる。監督のジョナサン・グレイザーは自ら答えは出さず、謎解きめいたヒントしか与えてくれない。
『人間の境界』の女流監督アグニエシュカ・ホランドの様に親切丁寧な映画話法とは真逆である。
アウシュビッツ収容所の内部は一切映像化せず、壁一枚隔てた家から見える煙がもくもくと舞い上がるカット、人の悲鳴、銃声などの音。極端な省略法で表現している。
ラストシーンもファーストシーンと同様に黒バックで不快感を感じる音を鳴り響かせ終わる。
実験的な映画話法で意味ありそうなカットを観客に投げてくるが、僕には………で理解できない場面が多かった。
映画のカット割りもアップのシーンは、ほとんどなく引きのシーンが圧倒的に多く『落下の解剖学』で母親役を演じたサンドラ・ヒュラーが出ていたとはわからなかったし、夫役(ルドルフ・ヘス実在した人物)を演じたクリスティアン・フリーデルが濃淡のある白黒映像が印象に残った『白いリボン』の教師役に出ていたとわかりびっくりした。勉強不足でごめんなさい。
映画終盤では、自分が犯した罪の重さ(ユダヤ人虐殺)に対して夫が誰もいないところで2度3度と激しく嘔吐するシーンや博物館として公開されているアウシュビッツ収容所の展示物ガラス張りの中にいっぱい収まっている大量の靴類には驚いた。
2回位見直しすれば映画の理解度が高まるかも知れないが、映画に対しての好みの問題なのかも知れない………
知的インテリ層が喜びそうな内容であるが………見た人の意見と感想を聞かせてもらいたい。
この映画を支持する人の方が多いと思うが、人間ドラマとしての葛藤を正面切って描いてもらいたかった。と言うのが僕の感想である。
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ネタバレフィルター解除題名からも分かるけど、みんな自分の生活に必死で、それ以外のことなんて、噂話はするけど、関わりたくはないのが普通。だから私は、歴史上の人物で尊敬するのは、黒人、ユダヤ人、女性などの解放運動に人生捧げた人たちだけど、もし自分の近くで似たようなことが起きていても、変わりなく日常生活を送る凡人なんだろうなと思う。この映画で救いだったのは、アウシュビッツの女王気取りだった母親のお母さん、子供たちのお祖母さんが、庭に灰が降ってくる(野菜育ててるし)こんな地獄のようなところにはいたくないと?メモを残して飛び出して行ったことかな。人間らしくてほっとした。