この作品の結末を”ハッピーエンド”と表現していいのかどうか迷いました。
判定を出すのは原作本を読んでからにしようと思ってます。皆さんはいかがでしょうか。
ただ、ヒロイン役の女優さんがとても魅力的だったので思わず引き込まれてしまったことは強くお伝えさせていただきます。もちろん、主演の池松壮亮さんの存在感は言うに及ばずですが、恥ずかしながら三吉彩花さんの作品をまともに見たのが初めてでしたので、とても新鮮な印象を受けた次第です。本作以降の出演作はまだ情報がないようなので、ネットで調べて旧作を鑑賞したいと思います。
前作『月』から一転して近未来を舞台(といっても2024年から始まり2025~2026年)にした異色の映画である。平野啓一郎原作『本心』は未読のため原作との比較はできない。
一連の石井裕也監督作品『川の底からこんにちは』『舟を編む』『僕たちの家族』『映画 夜空はいつでも最高密度の青空だ』『月』とは、ひと味違う、意欲的で実験的な物語構成で不思議な映画的世界に惹き込まれる。
AI人工知能、バーチャル、仮想空間 メタバースなどを用いて〔自由死〕を選択した母(田中裕子)の本心を聞きたいと願う池松荘亮。
そして物語が進行するに連れて最後の最後で〔真相〕=母親の言葉で本心が徐々に浮かび上がってくる。
ラストカットの三吉彩花の手が伸びて後ろ向きで座っている池松壮亮の腕を掴もうするカットにこの映画の〔テーマ〕が如実に表現されている。
今、自身の見えている、見ている世界は仮想なのか現実なのか…とても深いテーマが静かに描かれています。
人間の本質を浮き彫りにし、心を疲弊して行く様の表現がリアルで、怖くも有りました。
ラストは考えさせられます。
でも、私はとても面白かったです。
この作品の結末を”ハッピーエンド”と表現していいのかどうか迷いました。
判定を出すのは原作本を読んでからにしようと思ってます。皆さんはいかがでしょうか。
ただ、ヒロイン役の女優さんがとても魅力的だったので思わず引き込まれてしまったことは強くお伝えさせていただきます。もちろん、主演の池松壮亮さんの存在感は言うに及ばずですが、恥ずかしながら三吉彩花さんの作品をまともに見たのが初めてでしたので、とても新鮮な印象を受けた次第です。本作以降の出演作はまだ情報がないようなので、ネットで調べて旧作を鑑賞したいと思います。
前作『月』から一転して近未来を舞台(といっても2024年から始まり2025~2026年)にした異色の映画である。平野啓一郎原作『本心』は未読のため原作との比較はできない。
一連の石井裕也監督作品『川の底からこんにちは』『舟を編む』『僕たちの家族』『映画 夜空はいつでも最高密度の青空だ』『月』とは、ひと味違う、意欲的で実験的な物語構成で不思議な映画的世界に惹き込まれる。
AI人工知能、バーチャル、仮想空間 メタバースなどを用いて〔自由死〕を選択した母(田中裕子)の本心を聞きたいと願う池松荘亮。
そして物語が進行するに連れて最後の最後で〔真相〕=母親の言葉で本心が徐々に浮かび上がってくる。
ラストカットの三吉彩花の手が伸びて後ろ向きで座っている池松壮亮の腕を掴もうするカットにこの映画の〔テーマ〕が如実に表現されている。
今、自身の見えている、見ている世界は仮想なのか現実なのか…とても深いテーマが静かに描かれています。
人間の本質を浮き彫りにし、心を疲弊して行く様の表現がリアルで、怖くも有りました。
ラストは考えさせられます。
でも、私はとても面白かったです。
物語の舞台は2025年の日本。
AI《人工知能》やAR《拡張現実》に関するテクノロジーが急速に進んだ世界で、仮想空間上に外見のみならず会話もできるように再現されたVFという存在は生前のライフログやメールのやり取り、写真、動画、ネットの検索履歴などの情報をAIが集約して生成される。日々、学習を続ける事でVFの再現度は増してゆくという。
こういうSF的なマクガフィンやリアル・アバターに対する差別的な行為、自由死のあり方などディストピアものSFに感じられたがおそらく制作者側の描きたい事は知っているようで知らない親しい人の心の深奥や人の心の機微、タイトル通り〝本心〟だろう。
学校、会社、よく行く飲み屋――。
人は社会で生きるうえでいくつもの仮面《ペルソナ》を被らなければなりませんし、私生活においても家族や友人ひとりひとりによって異なる仮面をつける事も珍しくありません。
我々が接している〝人〟とはそんないくつもの仮面をつけた存在ですけど、上記の方法で作られたVFはかなり素の部分が反映されるため制作者が再現しようとしていた人物とは乖離した存在が生まれる可能性が高いと思うんですよね。
それでもAIは日々学習してゆくもの、おかしな言動や反応があっても会話の中で「あなたはそんな事は言わない」「前に言った事と違う」などと伝えることでAIは〝間違った〟言動を改めてゆく。
でもそれって他者の都合のよいように修正されて、ますます本人から遠ざかってゆくだけ。
死者が蘇るわけではない、最初から生者の望む姿を演じる認知存在として考え、接するのなら面白い〝おもちゃ〟として楽しめそうですね。
元となる人物の肖像権とか、VFに人権はあるのかとか気になるところ。
もし作れるのなら自分自身のVFを作って話してみたい。
たとえ自分が死んでもそのVFがメタバースで生き続けることで永遠の存在になれる。