暗い画面から、かすかに水の音が聞こえてくる。そして女性のうめき声。しばらくして赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて小さな生命が誕生したことがわかる。原作にはないこの〔プロローグ〕は河瀨直美監督の野心的で実験的な映像表現である。
そして本編が始まると〔プロローグ〕の赤ちゃんを巡っての一組の夫婦(井浦新、永作博美)とひかり(蒔田彩珠)のそれぞれの物語が描かれていく。1本の電話を通して……
〔特別養子縁組〕で幸福をつかむ夫婦と中学生出産のゆえに赤ちゃんをこの夫婦に託すひかりの心情。
前々作『光』で見せたような大胆なクローズアップのカットを使用して人物を浮かび上がらせたり、〔特別養子縁組〕説明会で登場する実在の人達を捉えるドキュメンタリー的な映像表現手法。木々が風に揺れるカット、若葉を逆光で捉えたカット、満開の桜等自然風景を要所要所にインサートし、揺れ動く登場人物の心理描写を映し出していく。
必然的に過去の河瀨作品が思い出されてくる。『あん』の樹木希林(ハンセン病)のセリフ 「私たちも陽の当たる社会で生きたい」又『光』では 水崎綾女のセリフ「一番大切な物を捨てなければならないなんてあまりにもひどすぎる」
映画に登場してくる中学生ひかり(蒔田彩珠)がそれにあたる。初恋相手に体を許して妊娠し、心がズタズタになりながらも、立ち向かう。
そして、衝撃的なラストシーンの佐都子(永作博美)とひかりの和解と朝斗(子供)の瞳が脳裡に焼き付く。娯楽色の強い映画ではないが深い衝撃を受けた。
みんなの感想
おやじ
Yukko
本で言うところの、行間がちと長かった?
暗い画面から、かすかに水の音が聞こえてくる。そして女性のうめき声。しばらくして赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて小さな生命が誕生したことがわかる。原作にはないこの〔プロローグ〕は河瀨直美監督の野心的で実験的な映像表現である。
そして本編が始まると〔プロローグ〕の赤ちゃんを巡っての一組の夫婦(井浦新、永作博美)とひかり(蒔田彩珠)のそれぞれの物語が描かれていく。1本の電話を通して……
〔特別養子縁組〕で幸福をつかむ夫婦と中学生出産のゆえに赤ちゃんをこの夫婦に託すひかりの心情。
前々作『光』で見せたような大胆なクローズアップのカットを使用して人物を浮かび上がらせたり、〔特別養子縁組〕説明会で登場する実在の人達を捉えるドキュメンタリー的な映像表現手法。木々が風に揺れるカット、若葉を逆光で捉えたカット、満開の桜等自然風景を要所要所にインサートし、揺れ動く登場人物の心理描写を映し出していく。
必然的に過去の河瀨作品が思い出されてくる。『あん』の樹木希林(ハンセン病)のセリフ 「私たちも陽の当たる社会で生きたい」又『光』では 水崎綾女のセリフ「一番大切な物を捨てなければならないなんてあまりにもひどすぎる」
映画に登場してくる中学生ひかり(蒔田彩珠)がそれにあたる。初恋相手に体を許して妊娠し、心がズタズタになりながらも、立ち向かう。
そして、衝撃的なラストシーンの佐都子(永作博美)とひかりの和解と朝斗(子供)の瞳が脳裡に焼き付く。娯楽色の強い映画ではないが深い衝撃を受けた。
本で言うところの、行間がちと長かった?