1973年。断頭台の露と消えたマリー・アントワネットの場面から物語の幕が開けられ、ナポレオン・ボナパルトの生涯を史実通りに時系列に沿ってたどる。
コルシカ島生まれの青年将校は革命政府の軍人とし て軍を率いて王党派らと戦い、周辺諸国を侵略して連勝に次ぐ連勝で戦功を重ねていき総司令官、第一統領と出世をし、ついには皇帝にまで上り詰める。だがロシア遠征の失敗により失脚。
追放と復帰、セントヘレナ島への流刑を経て51歳で世を去る。
英軍の占拠する港湾都市の砦を疾風の速さで攻略し、その場の大砲で港の軍船を破壊するトゥーロン攻囲戦にはじまりアウステルリッツの戦い、ロシア遠征、ワーテルローの戦いと歴史に名高い合戦シーンは迫力満点。
広大な戦場を膨大な数の人馬がひしめく。飛び交う銃弾、砲弾による爆発、土煙、粉塵。
人が肉塊となり飛び散る血飛沫は凄惨そのもの。にもかかわらず戦闘の高揚感に興奮。
最大11台のカメラで同時撮影して総勢8000人のエ キストラを使ったというのは伊達じゃない。
終始仏頂面で何を考えているのかわからない、英雄らしい神々しさや華々しさ皆無のナポレオン像は新鮮でいったい何を意図してこのようなキャラクターにしたのか興味深い。この作品のナポレオンは頂点を極めて少しも嬉しそうでなく、ずっと虚無を見つめているかのよう。
戦場におもむくのも権力を求めるのも自分の意思でなく、まるで何かに操られているかのよう。
伝令兵が二体の馬を交互に乗り換えるなど軍馬の疾走場面が多い事も印象に残った。
終盤のワーテルローの戦いに臨むナポレオンの前半生にくらべて明らかに精彩を欠く指揮ぶりが悲しい。
イギリス・オランダ等に加えてプロイセンまで加わった連合軍に対して合流する前に各個撃破して分断すると言っておいて雨という天候を理由に進軍せず、兵たちに何を伝えるかと問われ「雨を止めろ」と発言する姿は暗愚な将にしか見えない。
素人考えだがたとえ第四次川中島の戦いのような遭遇戦になってでも自軍の総数が個々の敵勢の数を上回っているうちに進軍して交戦するべきだったのではないだろうか?
巧遅は拙速に如かず。
時機を逸してしまった巧遅は機を見るに敏な拙速には遠くおよばない。という言葉もある。
バトル史実モノ< 恋愛コメディの作風は想定外。ナポレオン好きとしては史実にある名シーンを独自のアレンジを加えつつも巨大なスケール感演出で見れるだけで満足。
あえて不満点をのべるなら、圧倒的な尺不足。終始駆け足でダイジェスト版を見ている印象だった。配信版での完全版が出る事を期待している。
1973年。断頭台の露と消えたマリー・アントワネットの場面から物語の幕が開けられ、ナポレオン・ボナパルトの生涯を史実通りに時系列に沿ってたどる。
コルシカ島生まれの青年将校は革命政府の軍人とし て軍を率いて王党派らと戦い、周辺諸国を侵略して連勝に次ぐ連勝で戦功を重ねていき総司令官、第一統領と出世をし、ついには皇帝にまで上り詰める。だがロシア遠征の失敗により失脚。
追放と復帰、セントヘレナ島への流刑を経て51歳で世を去る。
英軍の占拠する港湾都市の砦を疾風の速さで攻略し、その場の大砲で港の軍船を破壊するトゥーロン攻囲戦にはじまりアウステルリッツの戦い、ロシア遠征、ワーテルローの戦いと歴史に名高い合戦シーンは迫力満点。
広大な戦場を膨大な数の人馬がひしめく。飛び交う銃弾、砲弾による爆発、土煙、粉塵。
人が肉塊となり飛び散る血飛沫は凄惨そのもの。にもかかわらず戦闘の高揚感に興奮。
最大11台のカメラで同時撮影して総勢8000人のエ キストラを使ったというのは伊達じゃない。
終始仏頂面で何を考えているのかわからない、英雄らしい神々しさや華々しさ皆無のナポレオン像は新鮮でいったい何を意図してこのようなキャラクターにしたのか興味深い。この作品のナポレオンは頂点を極めて少しも嬉しそうでなく、ずっと虚無を見つめているかのよう。
戦場におもむくのも権力を求めるのも自分の意思でなく、まるで何かに操られているかのよう。
伝令兵が二体の馬を交互に乗り換えるなど軍馬の疾走場面が多い事も印象に残った。
終盤のワーテルローの戦いに臨むナポレオンの前半生にくらべて明らかに精彩を欠く指揮ぶりが悲しい。
イギリス・オランダ等に加えてプロイセンまで加わった連合軍に対して合流する前に各個撃破して分断すると言っておいて雨という天候を理由に進軍せず、兵たちに何を伝えるかと問われ「雨を止めろ」と発言する姿は暗愚な将にしか見えない。
素人考えだがたとえ第四次川中島の戦いのような遭遇戦になってでも自軍の総数が個々の敵勢の数を上回っているうちに進軍して交戦するべきだったのではないだろうか?
巧遅は拙速に如かず。
時機を逸してしまった巧遅は機を見るに敏な拙速には遠くおよばない。という言葉もある。
バトル史実モノ< 恋愛コメディの作風は想定外。ナポレオン好きとしては史実にある名シーンを独自のアレンジを加えつつも巨大なスケール感演出で見れるだけで満足。
あえて不満点をのべるなら、圧倒的な尺不足。終始駆け足でダイジェスト版を見ている印象だった。配信版での完全版が出る事を期待している。