映画部のハミダシこじらせ女子が、幼馴染たちやポンコツ仲間と一緒に難関を乗り越えながら一発逆転の自主映画を撮る。そんなひと夏の物語。
「リンダリンダリンダ」とか「スイングガールズ」とか「ちはやふる」みたいな、爽やかな青春ストーリーを連想させて、実際、観終わった切なさとアガる感じは同じもの。
主人公のハミダシ女子に立ちはだかる同級生は、ブリッブリのアイドルで「好きだー」しか言ってない恋愛映画を主演して監督もする、みんながもてはやすライバル。とパターン通り。
だけどちょっと違うのは伊藤万理華演じるボーイッシュな女子高生ハダシは、勝新太郎の「座頭市」に心酔する古い時代劇マニアで暴走するエキセントリックでエネルギッシュなキャラクター。
彼女が「武士の青春」を撮るきっかけになる謎の男子倫太郎はタイムトラベラー。
これネタバレでもなんでもなくて映画でもさっさと正体がバレちゃう。
この映画が好きなのは、強引で突飛なことばかりなのに、全体を覆う「若い時期特有のふわふわした高揚感」にぜーんぶ吸収されてしまう。
困難もなんとなく解決してしまうし、対立もいつのまにか共闘しちゃう。
タイムトラベラーも「そうなんだねー」と割合簡単に日常に組み込まれてしまう。
夏。
永遠に続くんじゃないかと思う退屈。
仲間たちと無意味にわちゃわちゃして笑っているだけの日々。
突然火がついて仲間たちとがむしゃらに突き進む多幸感。
学園祭の前の熱にうなされるような高揚感。
もちろん真反対の地獄もあるけれど、この映画では日常に覆い隠されている。
心地よい空気。
ああ、そんな中で一人ひとりが個性的な高校生たちの群集劇なんだな。
かと思うと、クライマックスに向けて映画は突然走り出す。
演出も演劇的な鮮やかな跳躍を見せる。
結局、この映画はハダシと倫太郎のお話で、それはすなわち座頭市と時間のお話。それは「映画」のお話。
すべては最後に向けてのフリだったのか。
ラストカットの鮮やかさ、てかカッコよさは、最近見た映画の中でもキレッキレのほう。
ギクシャクして強引でつんのめっている、ものすごく変な映画だけど、ここでこれは間違いなく青春映画だね。と思う。
そういえば大人になるってことは、「白黒ハッキリつけない」ってことでもあってそれはズルさでも優しさでもあるのだけど、若いってことは自分も相手も傷つけることになっても傷だらけになって「一つ一つケリをつけて前に進んでいく」ことだよな。
この映画のトーンと真逆のことをこの映画を観ながら思ったりもした。
これはすごく良い映画、かどうかはわかんないけど、「アルプススタンドのはしの方」と同じような意味ですごく好きな映画。
伊藤万理華は見事な座頭市へのリスペクトを体現する見事な太刀さばき(棒切れやホウキだけど)とともに記憶に残ります。
この感想にはネタバレが含まれています!
ネタバレフィルター解除映画部のハミダシこじらせ女子が、幼馴染たちやポンコツ仲間と一緒に難関を乗り越えながら一発逆転の自主映画を撮る。そんなひと夏の物語。
「リンダリンダリンダ」とか「スイングガールズ」とか「ちはやふる」みたいな、爽やかな青春ストーリーを連想させて、実際、観終わった切なさとアガる感じは同じもの。
主人公のハミダシ女子に立ちはだかる同級生は、ブリッブリのアイドルで「好きだー」しか言ってない恋愛映画を主演して監督もする、みんながもてはやすライバル。とパターン通り。
だけどちょっと違うのは伊藤万理華演じるボーイッシュな女子高生ハダシは、勝新太郎の「座頭市」に心酔する古い時代劇マニアで暴走するエキセントリックでエネルギッシュなキャラクター。
彼女が「武士の青春」を撮るきっかけになる謎の男子倫太郎はタイムトラベラー。
これネタバレでもなんでもなくて映画でもさっさと正体がバレちゃう。
この映画が好きなのは、強引で突飛なことばかりなのに、全体を覆う「若い時期特有のふわふわした高揚感」にぜーんぶ吸収されてしまう。
困難もなんとなく解決してしまうし、対立もいつのまにか共闘しちゃう。
タイムトラベラーも「そうなんだねー」と割合簡単に日常に組み込まれてしまう。
夏。
永遠に続くんじゃないかと思う退屈。
仲間たちと無意味にわちゃわちゃして笑っているだけの日々。
突然火がついて仲間たちとがむしゃらに突き進む多幸感。
学園祭の前の熱にうなされるような高揚感。
もちろん真反対の地獄もあるけれど、この映画では日常に覆い隠されている。
心地よい空気。
ああ、そんな中で一人ひとりが個性的な高校生たちの群集劇なんだな。
かと思うと、クライマックスに向けて映画は突然走り出す。
演出も演劇的な鮮やかな跳躍を見せる。
結局、この映画はハダシと倫太郎のお話で、それはすなわち座頭市と時間のお話。それは「映画」のお話。
すべては最後に向けてのフリだったのか。
ラストカットの鮮やかさ、てかカッコよさは、最近見た映画の中でもキレッキレのほう。
ギクシャクして強引でつんのめっている、ものすごく変な映画だけど、ここでこれは間違いなく青春映画だね。と思う。
そういえば大人になるってことは、「白黒ハッキリつけない」ってことでもあってそれはズルさでも優しさでもあるのだけど、若いってことは自分も相手も傷つけることになっても傷だらけになって「一つ一つケリをつけて前に進んでいく」ことだよな。
この映画のトーンと真逆のことをこの映画を観ながら思ったりもした。
これはすごく良い映画、かどうかはわかんないけど、「アルプススタンドのはしの方」と同じような意味ですごく好きな映画。
伊藤万理華は見事な座頭市へのリスペクトを体現する見事な太刀さばき(棒切れやホウキだけど)とともに記憶に残ります。
伊藤万理華推しです。
この感想にはネタバレが含まれています!
ネタバレフィルター解除ビート板は失恋したとあったが、誰のことが好きだったとは言っていない。自分は「ハダシのことが好きだったのでは?」と感じた。明言しないところにも人物毎の物語があるなという感想を持った。