1980年代イギリスの港町にある映画館〔エンパイア〕で働いている、心が不安定な中年女性が傷つきながらも人生の生きる意味を見つけ出し行く過程を描いたヒューマンドラマである。
映画終盤の 黒人の若者との別れのシーンで、5月の風に揺れる若葉の樹々たちの中で抱き合ってそれぞれの道を歩んでいくカット。過去に歩んできた道と未来に進んで行く道を、一本の道を通して表現する映像空間に新鮮な心の安らぎを感じる。
『1917 命をかけた伝令』でファンになったサム・メンデス監督で、主演の中年女性を演じるのは『女王陛下のお気に入り』『ファーザー』で知られている演技派女優オリヴィア・コールマン。
彼女の演技が圧巻である。特にラストカットの笑顔が素敵だ。
〔エンパイア〕で上映された『ブルース・ブラザース』『オール・ザット・ジャズ』『トランザム7000』『炎のランナー』『チャンス』『ピンクパンサー2』『レイシング・ブル』等 懐かしい映画のタイトルを聞くだけで、映画ファンはニンマリしてしまう。
映画通好みの内容なので、普段映画を見ない人は〔勇気〕と〔覚悟〕が入ります。
みんなの感想
おやじ


1980年代イギリスの港町にある映画館〔エンパイア〕で働いている、心が不安定な中年女性が傷つきながらも人生の生きる意味を見つけ出し行く過程を描いたヒューマンドラマである。
映画終盤の 黒人の若者との別れのシーンで、5月の風に揺れる若葉の樹々たちの中で抱き合ってそれぞれの道を歩んでいくカット。過去に歩んできた道と未来に進んで行く道を、一本の道を通して表現する映像空間に新鮮な心の安らぎを感じる。
『1917 命をかけた伝令』でファンになったサム・メンデス監督で、主演の中年女性を演じるのは『女王陛下のお気に入り』『ファーザー』で知られている演技派女優オリヴィア・コールマン。
彼女の演技が圧巻である。特にラストカットの笑顔が素敵だ。
〔エンパイア〕で上映された『ブルース・ブラザース』『オール・ザット・ジャズ』『トランザム7000』『炎のランナー』『チャンス』『ピンクパンサー2』『レイシング・ブル』等 懐かしい映画のタイトルを聞くだけで、映画ファンはニンマリしてしまう。
映画通好みの内容なので、普段映画を見ない人は〔勇気〕と〔覚悟〕が入ります。
この感想にはネタバレが含まれています!
ネタバレフィルター解除1980年代初頭のイギリスのリゾート地マーゲイトにある映画館エンパイア。
そこで働く中年女性ヒラリーは過去のつらい経験から心を病み、今も医者に通っている。
ある日のことスティーヴンという黒人青年が映画館で新たに働くことになり、ヒラリーとスティーヴンは年齢差があるにも関わらず男と女として次第に惹かれ合ってゆく――。
いい映画でした。
いい映画なのですが映画への愛、性別や人種差別、偏見、ハラスメント、精神病などをあつかっているのだがどれも中途半端に終わる。テーマが散漫しているように思えた。
しかしこれは簡単なあらすじを読んで映画や映画館がテーマの話だと思い込んでいたため、私が勝手にそのような印象を抱いたのでしょう、これは本来ならば登場人物たちの細やかな心理描写や変わる姿を描いた、人間ドラマを見るべき作品。
これから観に行く人は「これはこういう映画なのかな?」という先入観なし、ニュートラルな状態で鑑賞することをおすすめします。
もちろん人間ドラマ以外としてではなく〝映画もの映画〟として観てもじゅうぶん楽しめます。『炎のランナー』や『9時から5時まで』、ハル・アシュビーの『チャンス』といった往年の名作が引用され、映写室やフィルムで映す場面は感動的。
映画という銀幕に投影される映像を暗闇の中の光に見立て、それは1秒間に24コマの静止画の光による錯覚、ファイ現象による光と闇の繰り返し。
禍福は糾える縄の如しという人生そのものを現している。
う~ん、深いなぁ。よくもまぁこんな頭のいいホン書けるものですわ。女児に強制オナニーを強いられて運営に削除されるようなお話しか書けない俺とは大違いだね。
先日観た『丘の上の本屋さん』と同様にロケーションが最高に素敵。海辺にある映画館。入ってすぐのロビーではお菓子やポップコーン売り場があり、甘い匂いが漂ってきそう。銀幕の左右には石像が飾られ、なんともゴージャス。
作中で言及されませんがエンパイア劇場は元々総合商業施設の一部だったようで今は使われていないレストランやカフェ、BARなどもあった模様。
上映中の映画にちなんだ同名のカクテルなんかを即席で作ってくれたたのかしら? そんな空想をかき立てられる作品です。
この映画館に、行ってみたい。