今風のチャラチャラした軽い乗りの映画でないが、若い人にはチャレンジしてもらいたい映画である。
大林宣彦監督の遺言状と言える映画であり、中原中也の詩が〔キーワード〕として何回かでてくる。
広島県尾道市のとある街の映画館〔瀬戸内キネマ〕館の閉館の日に日本の戦争映画の特集がオールナイトという形で上映されるところから本編が始まるが、プロローグとして宇宙船が登場してきて爺(高橋幸宏)が宇宙的価値観で過去に犯した戦争の愚かさを語る。直感的に脳裡に浮かんだのはDリーン監督の『戦場にかける橋』のファーストシーンで鳥が空を飛びながら人間が行っている愚かな行為を俯瞰で見つめているカットであり、最後にもう一度出てくる。この映画もやはりエピローグとして〔宇宙船〕(語り部として)登場する。
ストーリーを追ってみるような軟(やわ)な映画ではなく、約3時間の長丁場を〔おもちゃ箱〕をひっくり返したような奇想天外な大林ワールドが独特な映像マジックを駆使して展開されていく。
大林宣彦が構築してゆく世界に入り込んで行けないと実に訳の分からない苦痛の時間を体験することになる。僕も最初の1時間は???!!!の何!これ!の連続で、小津安二郎と山中貞雄両監督が登場する辺りから、作り手の〔意図〕がおぼろげながら見えてきて、映画という虚構の世界が生み出す〔世界平和〕の願いをこれからの世代に託して(宇宙に漂う赤ちゃん)幕を閉じる。
チケット売り場の老婆役 白石加代子が最後の最後で儲け役を演じてくれたし、ピアノを弾いている大林宣彦監督の後ろ姿が映される場面は胸にジーンと迫ってきた。
典型的な作家主義の映画になっているので、ローカルでは興行的に苦戦すると思う。
今風のチャラチャラした軽い乗りの映画でないが、若い人にはチャレンジしてもらいたい映画である。
大林宣彦監督の遺言状と言える映画であり、中原中也の詩が〔キーワード〕として何回かでてくる。
広島県尾道市のとある街の映画館〔瀬戸内キネマ〕館の閉館の日に日本の戦争映画の特集がオールナイトという形で上映されるところから本編が始まるが、プロローグとして宇宙船が登場してきて爺(高橋幸宏)が宇宙的価値観で過去に犯した戦争の愚かさを語る。直感的に脳裡に浮かんだのはDリーン監督の『戦場にかける橋』のファーストシーンで鳥が空を飛びながら人間が行っている愚かな行為を俯瞰で見つめているカットであり、最後にもう一度出てくる。この映画もやはりエピローグとして〔宇宙船〕(語り部として)登場する。
ストーリーを追ってみるような軟(やわ)な映画ではなく、約3時間の長丁場を〔おもちゃ箱〕をひっくり返したような奇想天外な大林ワールドが独特な映像マジックを駆使して展開されていく。
大林宣彦が構築してゆく世界に入り込んで行けないと実に訳の分からない苦痛の時間を体験することになる。僕も最初の1時間は???!!!の何!これ!の連続で、小津安二郎と山中貞雄両監督が登場する辺りから、作り手の〔意図〕がおぼろげながら見えてきて、映画という虚構の世界が生み出す〔世界平和〕の願いをこれからの世代に託して(宇宙に漂う赤ちゃん)幕を閉じる。
チケット売り場の老婆役 白石加代子が最後の最後で儲け役を演じてくれたし、ピアノを弾いている大林宣彦監督の後ろ姿が映される場面は胸にジーンと迫ってきた。
典型的な作家主義の映画になっているので、ローカルでは興行的に苦戦すると思う。