ローカルでは商業ベースにのらない、所謂〔作家主義〕と言われている映画は例えカンヌ映画祭で脚本賞を受賞しても、大都市ならいざ知らず中小都市の公開となると中々難しい。故に一般公開よりも遅くなったが公開に踏み切ってくれた〔Tジョイ〕さんには感謝する。
濱口竜介の作品は『寝ても覚めても』で凄い人だと感じた。今回の作品は3時間を少し切る大長編映画であるが、長いとは感じなかった。自宅の本棚を確認したら村上春樹の原作は2014年に読んでいた。今回映画を見終わってからパラパラと頁をめくって斜め読みして見たが、50頁ほどの短編小説をベースにして大幅に内容を膨らませて、映画監督濱口竜介の思いが熱く伝わってくる。
スウェーデン製のSAAB(サーブ)900Turbo赤色のクーペの左ハンドルが目を引く。主人公の私生活と子供の死、そして妻の死。二年後のところから本編が始まる。
舞台は広島に移り、口数の少ない訳ありの女性ドライバーとの出会い。SAAB900の車内から聞こえてくるカセットテープからのセリフ。セリフに対して答える主人公(西島秀俊)の声に車内での非日常的な生活空間を垣間見る。
チェーホフの〔ワーニャ伯父さん〕の役者オーデション、本読みの稽古。本読みのシーンにおいては日本語、英語、北京語、韓国語そして手話。いろんな国のコトバと世界共通語の手話が入り乱れて見たことも体験したこともない不思議な映像空間に引き込まれると同時に独特の表現方法の中にテーマが隠されているし、薄っすらと見えてくる。
特に話すことが出来ないで手話を用いてのパク・ユリムの演技は圧巻であり、映画の分岐点で〔ワーニャ伯父さん〕のソーニャ役(パク・ユリム)のセリフ(手話)が胸を打つ。
舞台演出家と俳優の西島秀俊と女性ドライバーみさき(三浦透子)が愛車SAAB900で広島からみさきの生まれ故郷の北海道まで車を走らせる場面は『ドライブ・マイ・カー』のロードムービー映画の見せ場であり、旅をする過程を通して目的地にたどり着き〔ポジティブ〕に生きなければと西島と彼女は気づいていく。
すべてが新鮮でみずみずしく、新しいタイプの日本映画の誕生であり、多くの人から見てもらいたい。
この感想にはネタバレが含まれています!
ネタバレフィルター解除ローカルでは商業ベースにのらない、所謂〔作家主義〕と言われている映画は例えカンヌ映画祭で脚本賞を受賞しても、大都市ならいざ知らず中小都市の公開となると中々難しい。故に一般公開よりも遅くなったが公開に踏み切ってくれた〔Tジョイ〕さんには感謝する。
濱口竜介の作品は『寝ても覚めても』で凄い人だと感じた。今回の作品は3時間を少し切る大長編映画であるが、長いとは感じなかった。自宅の本棚を確認したら村上春樹の原作は2014年に読んでいた。今回映画を見終わってからパラパラと頁をめくって斜め読みして見たが、50頁ほどの短編小説をベースにして大幅に内容を膨らませて、映画監督濱口竜介の思いが熱く伝わってくる。
スウェーデン製のSAAB(サーブ)900Turbo赤色のクーペの左ハンドルが目を引く。主人公の私生活と子供の死、そして妻の死。二年後のところから本編が始まる。
舞台は広島に移り、口数の少ない訳ありの女性ドライバーとの出会い。SAAB900の車内から聞こえてくるカセットテープからのセリフ。セリフに対して答える主人公(西島秀俊)の声に車内での非日常的な生活空間を垣間見る。
チェーホフの〔ワーニャ伯父さん〕の役者オーデション、本読みの稽古。本読みのシーンにおいては日本語、英語、北京語、韓国語そして手話。いろんな国のコトバと世界共通語の手話が入り乱れて見たことも体験したこともない不思議な映像空間に引き込まれると同時に独特の表現方法の中にテーマが隠されているし、薄っすらと見えてくる。
特に話すことが出来ないで手話を用いてのパク・ユリムの演技は圧巻であり、映画の分岐点で〔ワーニャ伯父さん〕のソーニャ役(パク・ユリム)のセリフ(手話)が胸を打つ。
舞台演出家と俳優の西島秀俊と女性ドライバーみさき(三浦透子)が愛車SAAB900で広島からみさきの生まれ故郷の北海道まで車を走らせる場面は『ドライブ・マイ・カー』のロードムービー映画の見せ場であり、旅をする過程を通して目的地にたどり着き〔ポジティブ〕に生きなければと西島と彼女は気づいていく。
すべてが新鮮でみずみずしく、新しいタイプの日本映画の誕生であり、多くの人から見てもらいたい。