中東のレバノン共和国首都ベイルートのスラム街で生活している出生届けが出されていない少年の眼を通して、貧困と無知の世界に矛盾を感じながら必死に這いあがっていく姿を移民問題や難民問題そして不法就労を散りばめて経済格差社会の断面をとらえた社会派映画である。
実にリアルな映像表現とカット割りと音楽でテンポよく進んでいく。終盤の作劇が見事で、特にラストカットの子供の笑顔が秀抜である。
中東の国の映画は『別離』(イラン)といい今回の『存在のない子供たち』といい、その質の高さに驚く。
2020/05/15
わずか12歳で、裁判を起こしたゼイン。訴えた相手は、自分の両親だ。裁判長から、「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を産んだ罪」と答えた。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に劣悪な労働を強いられていた。唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、さらに過酷な“現実”だった。果たしてゼインの未来は―。
ゼイン・アル・ラフィーア / ヨルダノス・シフェラウ / ボルワティフ・トレジャー・バンコレ / カウサル・アル・ハッダード / ファーディー・カーメル・ユーセフ / シドラ・イザーム / アラーア・シュシュニーヤ / ナディーン・ラバキー
(C)2018MoozFilms
中東のレバノン共和国首都ベイルートのスラム街で生活している出生届けが出されていない少年の眼を通して、貧困と無知の世界に矛盾を感じながら必死に這いあがっていく姿を移民問題や難民問題そして不法就労を散りばめて経済格差社会の断面をとらえた社会派映画である。
実にリアルな映像表現とカット割りと音楽でテンポよく進んでいく。終盤の作劇が見事で、特にラストカットの子供の笑顔が秀抜である。
中東の国の映画は『別離』(イラン)といい今回の『存在のない子供たち』といい、その質の高さに驚く。