主人公が父親コンプレックスから、徐々に社会と向き合い独立性を持ち生きていく姿は感動した
2021/09/03
アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋店を父と営んできた50歳のニコス。無口で内気な性格で、店の上の屋根裏部屋に一人で住んでいる。ギリシャを不況が襲うなか、長年大切に保管してきたお得意様の型紙を整理する日々が続く。そんな中、銀行から突然店の差し押さえの通知が届き、ショックで父が倒れてしまう。父のためにもなんとか店を立て直したいニコスは、病院で見たキャスター付きの台をヒントにある事を思いつく。廃材を使って足踏みミシンを乗せた屋台を作り、なんと移動式の高級スーツの仕立て屋を始めたのだ。
だが思い切って店を飛び出してはみたものの、値段が高いオーダーメイドスーツは道端では全く売れず、商売は傾く一方。途方に暮れていると、ある女性に声をかけられる。「娘の結婚式用のウェディングドレスは作れる?」これまでは紳士服一筋のニコスだったが、父のため、そして大切な店のため、初めてのウェディングドレス作りに挑むことに。
ニコスは隣に住む親子、心優しいオルガと元気な娘のヴィクトリアに手伝ってもらい、女性服の仕立てを学び始める。そして3人で力を合わせて、ニコスの屋台にはカラフルなスカートやワンピースが少しずつ増えていくのだった。はじめはオルガとぎこちない会話しか出来ないニコスだったが、無邪気なヴィクトリアの助けも借りながら、お互い徐々に心を開いていく。
世界に1点のニコスのオーダーメイドのウェディングドレスは次第に評判になり、アテネの女性達の間でたちまち大人気に。だが昔気質な父は女性服を作るニコスをなかなか認めようとはしてくれない。その一方で、青空の下で店を開けば行列が出来るほどになり、商売は軌道にのったかのように見えたのだが──。
ディミトリス・イメロス / タミラ・クリエヴァ
(C)2020 Argonauts S.A. Elemag Pictures Made in Germany Iota Production ERT S.A.
主人公が父親コンプレックスから、徐々に社会と向き合い独立性を持ち生きていく姿は感動した
この感想にはネタバレが含まれています!
ネタバレフィルター解除仕立て屋が主役というだけで気になり鑑賞しました。
寡黙な主人公なこともありセリフでなく周りの音やbgmで心理描写を表現し、それが小気味よい音を奏でているとき、心底落ち込みダークな雰囲気など音を聴いて観ているこちらに伝えようとする感じが映画らしくて良かった。
ポスターからは仕立て屋のお仕事映画だと思っていたら後半からのちゃっかり同僚人妻寝取り物語に転換していて海外だしいいのかなぁと自分を納得させ観ていた。
主人公からしたら一歩踏み出せたという点では良いのかもしれないが仲良くしていた子どもの母親を寝取り、若干の不仲だったとはいえ家族のためにタクシードライバーとして励む旦那を差し置いてイチャイチャする主人公はなんだかなぁ、こっちの方向に持っていかないで美しいウェディングドレスを作る物語であってほしかった。