ロンドン郊外と思われる集合住宅(フラット)の住居を舞台にして、認知症の兆しが見え隠れしている父と娘の現実とも虚構ともいえる不思議で難解なエピソードが絡み合った糸の様に描かれていく。
我々観客は映画の造り手の表現手段と葛藤しながらうんうんと唸りながら、絡み合った糸をほぐしながら見なければならない映画であり、所謂〔作家主義〕と呼ばれるカテゴリーに分類される映画である。
当然、好き嫌いがあり、たいがいの人はパスする映画でもある。僕は積極的に支持する方である。
父と娘を演じているアンソニー・パーキンス(羊たちの沈黙)とオリヴィア・コールマン(女王陛下のお気に入り)の演技対決が見どころの一つである。
室内という限られた空間で物語が構成されており、窓から見ることができる光景が映しだされると息詰まる空間から解放された気分でほっとする。派手さはないが室内の間取りをさりげなくとらえるカメラワークが秀抜。
やがて病状の悪化と娘の都合で病院に移され、担当看護婦(役者の名前はわからないが素晴らしい演技を見せてくれる)に悪態をつきながら、自分が置かれている立場を感じながら、娘ではなく、自分を生んでくれた〔ママに会いたいと〕老人は子供に帰った様に泣きじゃくる。その行為を受け止めながらさり気なく語りかける看護婦のセリフが、胸が締め付けられるこの映画最高の見せ場である。そして、窓から見える光景は緑豊かな木樹が風に吹かれてゆれている。映像でしか語ることが出来ない見事なエンディングである。
監督フロリアン・ゼレール 覚えておきたい監督の一人になりそうである。
ロンドン郊外と思われる集合住宅(フラット)の住居を舞台にして、認知症の兆しが見え隠れしている父と娘の現実とも虚構ともいえる不思議で難解なエピソードが絡み合った糸の様に描かれていく。
我々観客は映画の造り手の表現手段と葛藤しながらうんうんと唸りながら、絡み合った糸をほぐしながら見なければならない映画であり、所謂〔作家主義〕と呼ばれるカテゴリーに分類される映画である。
当然、好き嫌いがあり、たいがいの人はパスする映画でもある。僕は積極的に支持する方である。
父と娘を演じているアンソニー・パーキンス(羊たちの沈黙)とオリヴィア・コールマン(女王陛下のお気に入り)の演技対決が見どころの一つである。
室内という限られた空間で物語が構成されており、窓から見ることができる光景が映しだされると息詰まる空間から解放された気分でほっとする。派手さはないが室内の間取りをさりげなくとらえるカメラワークが秀抜。
やがて病状の悪化と娘の都合で病院に移され、担当看護婦(役者の名前はわからないが素晴らしい演技を見せてくれる)に悪態をつきながら、自分が置かれている立場を感じながら、娘ではなく、自分を生んでくれた〔ママに会いたいと〕老人は子供に帰った様に泣きじゃくる。その行為を受け止めながらさり気なく語りかける看護婦のセリフが、胸が締め付けられるこの映画最高の見せ場である。そして、窓から見える光景は緑豊かな木樹が風に吹かれてゆれている。映像でしか語ることが出来ない見事なエンディングである。
監督フロリアン・ゼレール 覚えておきたい監督の一人になりそうである。